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Proflex Animal 1996

2008.11.16 レストア開始

2008.12.31 レストア完了

Proflex Animalと言う自転車(MTB)

レストア後直後の試乗時の写真 私が約12年前(1996年)に購入したフルサスペンション型マウンテンバイク
(MTB) Proflex Animal(1996年モデル)は、フロントのサスペンションが珍しいリンク式で、更に前後サスペンション部共にエラストマーと言う非常に大きな弾性をもつ高分子ゴムを使用した衝撃吸収システムを採用、油圧式のマグラ HS-22 ハイドロリックリムブレーキを装備するなど、他に類を見ない非常に珍しい構造を採用しています。

 購入当時、他のMTBとは異なった特殊構造とハードな外観、その外観とは相反するしなやかな乗り心地は私自身とても気に入っていたMTBでした。

 しかし、耐久性に関してはその後前後サスペンション部に装着されていたエラストマーが経年劣化により溶けて液状化し、サスペンションとしての機能が失われただけでなく、その特殊構造のためサスペンションがフレームを支えられず乗る事すら出来ない状態になってしまうと言う悲しい結果となってしまいました。

 更なる追い討ちはこのProflex Animalを購入したショップ(BIG OARK)が遠方に移転し、そしてその後消滅(東京二子玉川→神奈川県、その後閉店)、販売店のアフターサービスを受けられなくなり、更にProflexと言うメーカー自体もK2に買収されブランド自体がK2に引き継がれました。

 K2はこの特殊な構造を採用する自転車を継続的に生産する事を辞め、この独特な衝撃吸収構造を持つMTBは姿を消してしまいました。しかしこのProflex Animalは、実はいまだに世界中に愛好家が存在するバイクなのです。

きっかけは息子とのサイクリング

 オートバイで一緒にツーリングを楽しむ長男の大貴(中2)は、自転車にも興味を持ち日頃から妻のものだったMARINのMTBに乗っています。そして大貴はこのMARINのMTBにProflex Animalのパーツを自分で移植し、何時の間にかタイヤもシートも無くなったProflex Animalの姿はフレームのみのガラクタ同然のような姿に変貌していました。

 乗れなくなった自転車とは言えProflex Animalは購入時約27万円もし、私にとってはなかなかこの自転車を処分する事も修理する事も出来ずにいました。

専用ツール ところが・・・ つい最近になってこのProflex Animalのエラストマーに代わる、Proflex Animal用にサスペンションを販売しているRisse Racingのサイトを発見、実に購入した年から12年も経った2008年11月、とうとうこのクラシックなMTBとも言えるProflex Animalのレストアを開始する事にしました。

 右の写真は私が1996年頃に購入し使用している自転車専用工具セット。購入当初は一体何に使う工具なのか?まったく分からなかった工具も有りましたが、今回のレストア作業では大活躍しました。

 今回はこの工具を最大限活用してレストアを試みました。大体整備に必要な工具は一式揃っていましたが、これらの工具に加え更に必要な工具を追加して使用しました。

レストア初期の外観写真

 FRAME SIZE 40.6cm 16inch

レストア初期段階のProflex Animal 1996

 とりあえずMARINのMTBに移植した部品を元に戻し、組み上げた状態が上の写真です。以下、主要部分のレストアをピックアップして掲載しました。

チェーンリングの錆落とし

 恥ずかしながらこんなに錆びてました。ペダルやクランクを外し、固定ボルトも全て外して磨く必要がありましたのでかなり根気の要る作業となりました。(^^;)

チェーンリング前部(作業前)チェーンリング後部(作業前)

 作業前の上の写真と作業後の下の写真を見比べるとその違いは歴然。丸1日以上かけて徹底的に磨きあげました。この部分が一番錆が酷かったので、見た目の印象がかなり変わりました。

チェーンリング前部(作業後)チェーンリング後部(作業後)

 下の写真が錆を落としている途中の写真。この時活躍したアイテムが「錆取り消しゴム」と言う製品。

 これは本当にお勧め!右下写真の黄色い消しゴムの様なものがその「錆取り消しゴム」で、ホームセンターで購入。これで擦ると下地を傷める事無く見違えるほどピカピカに!(^^) 右下の写真はボルトの頭を磨いている時の写真です。

チェーンリングの錆取り錆取り消しゴムの威力

サドルは思い切って交換

 サドルは表皮も破れていたのでさすがに交換としました。初めは安いものをとも思いましたが、この自転車への罪滅ぼしにと以前と同じグレードをと思い購入したのがこれ、サンマルコ コンコールライト(Sanmarco CONCOR Light)。見た目は表皮のデザインが変わりロゴが刺繍され、更にステーが中空チタンとなり地味ながら進化していました。

サンマルコ コンコールライトサドル裏側

 実は私は知らなかったのですがこのサドル、伝説の神サドルとして有名で非常に評価も人気も高いサドルだった事が後で判明しました。

 ちなみにもっと高いサドルは沢山存在しましたが、これ1つだけでも安い自転車が余裕で購入出来てしまうほど高かったです。(^^;)

チェーン交換

チェーン交換 チェーンはここまで錆びさせたのか!と自転車好きの方々に怒られそうな位錆びていました。(錆びたチェーンは全く曲がらず固着してしまったコマが複数存在しました。)

 これだけ錆が酷いとさすがにチェーンとしての機能を回復させるのは不可能と判断し、当然ながら新品のものへ交換に至りました。

 購入したチェーンは9スピード対応のSHIMANO製HG CHAIN。どちらかと言えば安価なグレードのものです。

 

細かなパーツも交換

バーエンド交換前 細かな部分ですが、バーエンドのキャップも傷が目立っていましたので交換しました。(右の画像は交換前のバーエンド部分)

 バーエンドのキャップは280円位で販売されています。装着は単純に強く押し込むだけ。これだけでも交換するしないでは見た目の雰囲気はかなり違ってきます。

 また、各所で使用されているボルト類も、同サイズのものをホームセンターにて探しては都度購入し交換しました。

 軽量化も大切ですが、MTBゆえ錆に強く強度もしっかりしたステンレス製の物をチョイスしました。

REAR SHOCK

REAR さて、このProflex Animalの修理の要はショックパーツの選択に尽きると言えます。最初冒頭で説明したとおり、この自転車に乗れなくなってしまった原因になった部分です。

 選択枝としては安価なスプリングサスペンションによる換装と言う方法も有りましたが、勿論それではこのバイクが持つ本来のポテンシャルは十分発揮出来ません。

 エラストマーに代わる技術としてはエアーダンパー式のショックへの交換が望ましいと思っていたところ、偶然にもRisse Racingのサイトを見つけたのはラッキーでした。

 驚いたのはこのRisse Racingのサイトでもう発売から既に12年も経つProflex Animal専用のショックを現在でも販売していた事です。そこで早速アメリカに住んでいる妹へ連絡し、部品を入手して送ってもらいました。

 しかし、この部品の入手には大変な時間と労力とお金がかかりました。その原因はアメリカは日本と違ってのんびりしていると言うこと。注文を受け付けても発送されるのは2週間後でした。また、丁度クリスマス時期と重なった結果、日本の年賀状と同じく大量のクリスマスカードの郵便物の影響を受けたせいか、日本への到着も大幅に遅れました。

 更に極めつけは、せっかく到着した部品2種のうち、フロント用のショックが注文内容と相違している部品が到着しました。これによりアメリカへの返品交換も行う事になり、更に時間と労力を費やしました。

 ちなみにアメリカへの送金(為替)はロイズTSBを利用しました。

  そして装着したRisse Racingのリアショックが下の写真です。

50446?50446?

Genesis ショックから飛び出ている金具部分が米式バルブのエアー注入口。ストロークも十分ですが、勿論固さはエアーで調節可能です。

 さすがにProflex専用設計だけあってジャストフィット。見た目より軽量でストローク量も十分でした。

 

 

 

 

Risse Racing

FRONT SHOCK

 このProflex Animalのレストアで最大の難関がこのフロントショックでした。この特殊構造のサスペンションに適応するショックを入手出来たことで、フォークごと交換するという最悪のケースは回避出来ました。

FRONT1FRONT2FRONT3Risse Racing

Proflex Animal Risse Racing製のショックを装着すると、さすがProflex Animal専用設計だと感心させられる事が多々有りました。

 それは決して余裕が有るとは言えない狭いスペースにしっかりと収まる大きさと形状。

 そしてしっかりと得られるストローク量とエアーバルブの位置や向きがこれしか方法が無かっただろうと思われるデザインと完成度でした。

 また、装着時サスペンションとの接合部分の精度の高さでは、当然ながら文句の付けようが無いほどピッタリでした。

 

Proflex Animal

Genesis エアーバルブ(右写真中央の部分)は斜め横向きに装備されていました。

 このデザインによりサスペンションの動きにも支障を与えず、更にエアーの注入等メンテナンス性も全く問題が有りません。

 耐久性能はこれからしばらく使用してから判明しますが、大事に使用して長くこのバイクに乗り続けたいと思います。

 

 

 

 

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